こんなときどうするの(回答)

250号

 
A.障害のある方やその御家族等からのご相談をお受けしている障害者相談支援センターは、川崎市から委託を受けた法人が設置運営する公的な相談機関です。

障害や年齢、障害福祉サービス利用の有無に関わらない相談支援や、制度・サービスの利用案内等を行っています。

 

●現在、地域相談支援センターは各区に3~4ケ所、基幹相談支援センターは川崎市に3ケ所設置されています。

障害のある方とそのご家族の身近な相談窓口(障害者相談支援センター)

川崎市のホームページより


●また、同様に相談をお受けしている場所として、各区役所地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)・各地区健康福祉ステーションがあります。

 

令和3年10月から、川崎市では相談支援体制のさらなる充実を図るため、障害者相談支援センターの体制が再編・整備されました。この再編・整備により、地域相談支援センターと基幹相談支援センターの役割が以下のようになりました。

地域相談支援センターは地区担当制を導入することにより、障害のある方やその御家族等からの相談窓口を明確化し、地域の関係機関とのネットワークづくり等を進めます。

また、区ごとの人口や障害者数等を考慮し、川崎区及び中原区にセンターを1ケ所増設し、体制の強化を図りました。

基幹相談支援センターは、複数区担当制となり、南部(川崎区・幸区)、中部(中原区・高津区・宮前区)、北部(多摩区・麻生区)の3か所体制に再編され、地域の相談支援機関等に対する後方支援や広域的(市外からの転入等)な調整、地域移行(長期入院者・施設入所者)の取組等、基幹固有の業務に特化した体制の整備がされました。

障害者相談支援センターが担当する地区を一覧で分かりやすく示したリーフレットが作成され、各区役所等窓口及び障害者相談支援センター等にて配布をしています。
リーフレットのダウンロード(川崎市のホームページより)

この再編により、御利用希望の方はお住いの地区を担当する地域相談支援センターへ御相談をお願いします。もちろん、今まで通り各区役所地域みまもり支援センター(福祉事務所・保険所支所)・各地区健康福祉ステーションでも御相談が出来ます。

●その他、障害福祉サービスを御利用している方は、指定相談支援事業所への御相談も出来ます。御利用の詳細は各区役所か障害者相談支援センターへお問合せ下さい。

今回、多摩区の基幹相談支援センターを御利用されていた方について、再編後は地区担当制になりますので、お住いを担当する地域相談支援センターや各区役所地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)・各地区健康福祉ステーションへ御相談をお願いします。

御利用について説明をさせ頂きましたが、分かりづらい点がございましたら障害者相談支援センターや各区役所地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)・各地区健康福祉ステーションへお問合せ願います。


249号

 

A. 医療的ケアの子どもたちのことが課題になったのは30年前からです。当時は、医療的ケアのある子どもたちは通学に親が付き添うか訪問教育を受けるかのどちらかでした。医療的ケアを必要とする子どもたちが増えるにつれ、教員の中から、自分たちも医療的ケアに携わりたいという声が上がり、教育委員会等を動かし、試行を経て学校でのケアが始まりました。このような動きは、24時間ケアを必要とする難病の方たちからも上がっていました。

 

2012年、法律が変わり、一定の研修を受け医療との連携の下なら、介護職も医療的ケアができるようになりました。

実際にはどうなのか、現在28歳の医療的ケアのある方のご家族に、聞いてみました。

胃ろうによる栄養と鼻と口からの吸引が必要な方です。

 

Q.小学校の時はどうでしたか。

 

A.制度が整っていない頃です。付き添いを条件に入学が認められましたが、下の子が生まれる時期と重なり付き添うことができません。有償のボランティアで看護師さんに付き添ってもらい何とか通うことができました。

 

Q.中学校からは特別支援校ですね。

 

A.中学入学は近くに支援校ができ、同時に研修制度が整った時でした。最初の1学期は付き添いましたが、後は3号研修を受けた担任に吸引と注入をしてもらいました。

 

卒業後は、家族の願いで作られた生活介護施設に通っています。そこでも、介護職員が3号研修を受けて、吸引も胃ろうによる経管栄養も問題なくやってもらっています。

 

Q.介護職の人にやってもらうことに不安はないですか。

 

A.看護師さんもいますが、いつもそばに付き添っている介護職員が、顔色や呼吸の状態をよく見ていて、タイミングよく吸引してくれるので、体調をくずすことなく通所できています。胃ろうによる注入もいつもと違うことがあると、電話で様子を知らせてくれて対応を伝えることができるのでとても安心です。我が子のために3号研修を受けた職員は、11名になります。


248号

 

A.障がい児の支援体制や利用できる制度について、知る機会もあまりない方も少なくないかもしれません。お子さんの年齢によって、また、障がいの特性や家族の状況によって困っていることや必要とする支援は違ってきます。さまざまな制度がある中で、適切な情報を入手してサービスを利用することは簡単ではありません。

 

川崎市では、毎年「ふれあい」という障害福祉に関する制度が掲載されている冊子を作成・配布しています。(川崎市のHPでも公開されています)この「ふれあい」は、障害者の支援制度についても掲載されています。膨大な情報量の中から、子どもとその家族に必要な支援を見つけ出すのはなかなか困難です。

●川崎市のHPより ふれあい‐障害福祉の案内-

また、今はまだ子どもが小さいけれど、就学や進学のこと、将来的に利用できる制度について知りたい。という声もよく耳にします。児童期を通じて必要な制度や支援体制を知るには。どうすれば…。

 

でも、大丈夫!豊かな地域療育を考える連絡会から、「障がい児の子育て支援ハンドブック改訂版」が発売されました。

障がいのある子どもを育てる保護者が、より適切な「相談」や「支援」につながるよう、障がい児の子育てに関するさまざまな情報を一冊にまとめました。もちろん、ご家族だけでなく、支援者や子どもとつながるすべての人に役立つ一冊になっています。川崎の障がい児の子育て支援に関する情報がぎゅっと詰まっています。

 

川崎市の最新の制度にとどまらず、支援に関わるさまざまな方のエッセイやインタビューなどもあります。今回の改定版作成にあたり、川崎市の方をはじめとして大変多くの皆様にご協力をいただきました。

 

あらためて感謝するとともに、この冊子が1人でも多くの方に届くことを願っています。

 

※療育ねっとわーく川崎は、豊かな地域療育を考える連絡会の事務局として、その活動に協力しています。

「障がい児の子育て支援ハンドブック」のお求め方法

⇒メールでのご注文はこちら yutakanaryoiku@gmail.com


247号

A.車での外出は、時間・場所・天候に左右されず好きな時自由に行動できますね。

福祉仕様車両は、利用者が体により少ない負担で安全に乗車し移動するための装備が付いた車です。車いすで乗降するためのリフトやスロープを装備し、車いすのままで乗車・移動する事が出来、車内では車いすをそのまま座席として使用するため、車いすの固定装置とシートベルトが装備されています。車いすから車両への移乗を必要としないため、乗降に伴う介助負担も軽減されます。

ただし、車両や車いすの構造上で安全性や乗り心地が十分でない事があることに留意する必要があります。一方、リフトアップ回転シート(昇降シート車)は車いすから比較的楽な姿勢で、車両本来のシートに移乗できます。3点式シートベルトが確実に装着出来てヘッドレストも付いていることから、安全性はより高く、乗り心地は車いすシートより格段に心地よくなります。

 

家族構成や使用するシーン、そして現在使用している車いすが、車両スロープ幅のゆとり・固定装置とのマッチング・乗車後の車内空間などを必ず実際に車両と合わせて選考する事が大事です。

 

トヨタ・日産をはじめ他各社には数多くの福祉仕様車が用意されています。各社ホームページで福祉車両のカタログや近くの専用展示場の案内がされています。

また、比較的新しい年式の程度の良い中古車も専門店で市場に多く出ています。

一般家庭では、電動リフト車よりスロータイプの車両をおすすめします。メカトラブルが少なく車両コストもリーズナブルです。また、車両取得時の減免・駐禁除外指定(全国)・高速道路割引など様々な特典があります。


246号

A. 川崎市では、昨年度から障害のある人への大規模自然災害時の対策を行うために、健康福祉局内に危機管理担当部署が作られました。担当部署の方が呼吸器を利用されているご家庭に訪問し、直接意見を聞かれるなどされ、災害時電源確保のための二つの施策が、2021年9月から始まりました。

 

今回は、停電によって生命の危機にさらされる可能性の高い、常時人工呼吸器を使用されている方への対策になります。

 

ひとつは、非常用電源装置の給付です。人工呼吸器の内部バッテリーは、数時間しか持ちません。そこで災害などによる長時間の停電発生時においても人工呼吸器への電力供給が可能となるためには非常用電源装置が必要になります。その電源を新たに購入する際に給付が受けられるようになりました。

 

もうひとつは、発災後地域が停電した場合に、市内3ケ所の二次避難所に設置されたプラグインハイブリット車によって医療機器の外部バッテリーに充電が受けられる制度です。

 

これらの施策について、人工呼吸器を使用されているご家庭である川崎呼吸器っ子の会の方から、意見をいただきました。

 

・こういった事業を始めてくれることは大変有難い

 

・ただし、夜間だけ呼吸器の子は、今回の給付対象外であることは改善してほしい。

また呼吸器だけでなく、吸引器や酸素供給器など、電気を使う医療機器で命繋いでいる方はたくさんいると思う。是非範囲は拡大の方向で進めていただきたい。これで終わりとはしてほしくない。

 

・災害時に給電車(ハイブリット車)が各家庭にあるいは拠点に巡回して給電させるという動きも聞いている。その構想自体はとてもよいと思うが、実際本当にうまく運用されるかは不安。

 

任意参加者だけでもよいと思うので、可能な範囲で実施したほうがよいと考える→(給電車は、現在のところ拠点に設置となっています。)


245号

A.長時間の医療的管理を日常に必要とする者に対し、訪問看護サービス等の支援を行い、重度障害者の家庭の支援を図ることを目的としている事業です。以前からある事業ですが令和3年に改訂されました。利用者登録すると共に訪問看護ステーションも委託契約をしておく必要があります。

Q2.利用するのに要件はありますか?

A.医療機関の訪問看護を利用しているいずれかに該当する方。

①重度の身体障害又は重度の知的障害又は精神障害があり、市が定める判定基準を満たす方。<(気管内挿管、気管切開、ネブライザー6回/日以上または継続使用、IVH(中心静脈栄養)、経口摂取(全介助)、経管(経鼻・胃ろう含む)、定期導入(3回/日以上)、人工肛門等で、他にも全部で14項目あり、それぞれに点数が付けられています。>

※運動機能が座位まであり、かつ上記項目の判定スコアの合計が20点以上の場合。 ②市が定める日常生活を営むための医療のいずれかを要する状態にある障害児(気管切開、酸素吸入、吸引、胃瘻等全12項目のいずれかを使用している)

①②に準ずる重度の障害があり、同一世帯に重度な看護を要する複数の障害者がいるなど特に市長の認める者。

Q3.どのくらいの時間やっていただけますか、また負担金はありますか?

A.医療保険の訪問看護に繋げて利用が出来ます。単体での利用はできません。

<派遣時間>1世帯につき1回30分単位で240分を限度としています。翌年度の6/30までの1年間で80時間利用できます。 例えば医療保険で1時間半と重度訪問看護事業を4時間使うと最長5時間半見てもらう事が可能です。

<負担金>利用者の世帯の最多納税者の市民税額で決定します。世帯の範囲は利用者が18歳以上の場合は、該当障害者及び配偶者とし、18歳未満の障害児の方は当該障害児を含む同一世帯全体です。 なお、今年度改正があり従来の負担金よりも減額になっています。

Q4 手続きはどのようにすればよいでしょうか?

A.利用を希望する場合は所属の区役所障害福祉課で申請手続きをします。申請書、診断書(訪問看護指示書の写しで可)、身体障害者手帳の写しが必要となります。

申請書が受理され、必要と認められると、決定通知者が送付されてきます。まずは、利用している訪問看護ステーションが登録をしているか、希望する時間に対応可能かを相談してみてください。

お母さんの受診に時間がかかる、兄弟の学校行事等に参加したい、冠婚葬祭等、障害児、者を抱えての参加は難しい時など利用できるといいです。

 

◆川崎市のホームページ 重度障害者訪問看護サービス等支援事業実施要綱はこちら


244号

 

A. 通学支援を行っている事業者です。

障害のある子どもたちの通学には家族の付き添いがあたりまえのように求められています。ご家族が病気のときや就労されている場合など、学校に送っていくのはたいへんですね。また、スクールバスがあったとしても、バス停が遠すぎたり、医ケアがあるために乗車ができなかったり、通学に関して何件ものご相談を受けサポートをしてきました。

 

Q. 学校までではなく、支援校スクールバスのバスポイントまでの送迎もしてもらえるのですか?

 

A.バスポイントまでの送迎サポートもします。スクールバスコースが家の近くに変更できないという理由で認められた方もいました。

Q. 出勤時間に間に合わないため、通学支援を使いたいと検討しています。費用はどれくらいかかりますか?

 

A.就労の場合

 

通学サポートには利用料負担があり、介護者が就労の場合は50%負担になります。

 

通学サポートの報酬改定があり、1時間以内の利用でも1,300円の負担額です。(1ケ月1万円が上限)。事業者として報酬が上がるのは助かるのですが、ご家族の負担が増えたことが心配です。他のサービスと同じように10%負担にし、合算した負担上限額にならないかと常々思っています。

 

Q. 通学支援とは、例えば親の体調が悪い時など急なお願いに対応してもらえるのですか?それとも1ケ月単位などで事前予約したりするのですか?

 

A.介護者の疾病の場合

 

介護者がけがや病気の時に、朝、学校に送り出してもらえれば、病院にも行けるし休むこともできますね。残念ながら、通学サポートを利用するには診断書が必要です。

 

Q.学校に行けなければ、休ませるしかなく、そうなれば診断書をもらいに行くことなんてできないわ…(おっしゃる通り)

 

A.出産や病気によっては、前倒しで出してもらったこともありますが、診断書が出ない場合は無理でした。見直しが必要だと思います。

 

Q.通学支援を同じ通学路で行ける友人などと乗合でお願いすることって出来るのですか?

 

A.通学サポートは、基本は1対1です。福祉有償の車の場合、同じ車に、利用者さんとヘルパーとでもう一組一緒に乗ることは可能です。きょうだいの場合で、やむを得ないと二人の介護を認められたこともあります。


243号


A.三人会「あんしんノート」を作成し、支援者のネットワーク作りを目指している岡本さんに聞いてみました。

 

(岡本)うーん。それは甘いですね。療育センターや病院には、カルテや資料はありますが、それぞれの機関の中に情報はあっても、誰かがその情報を取り出してまとめてくれることはありません。

 

「あんしんノート」を作ろうと考えたのは、病院に行っても施設に行っても、何度も同じように成育歴や病歴を聞かれるので、それぞれの支援者が欲しいと思われる情報をトータルにまとめておこうと思ったからです。自分もだんだんに忘れたり混乱したりしないように、できるうちに書いておこうと思いました。障害年金申請の時にも役に立ちますよ。

 

それぞれの施設の登録用紙などはバラバラですね。書式を統一してほしいと行政に要望したこともありましたが、実現しません。今は、新たに書いてくれと言われたときには、あんしんノートを見せて「これじゃあいけませんか」と出しています。

 

「あんしんノート」の書き方はいろいろで、お母さんの中にはその人の育ちの中での思いや好きなものなど、写真を入れる方もいらっしゃる。それも大事なことだけど、初めて接する支援者にもわかるように、必要とするシンプルな情報だけを記述するのもいいと思います。
参考:「親心の記録」~支援者の方々へ~などはわかりやすいです。

 

「あんしんノート」は書いておしまいではなく、支援者に伝えていくためのものなので巻き込んでいかなければ意味がないです。書き込むときにも、支援者と一緒にできるといいですね。一人で書いていると、極端になってしまうから。うちの場合は1年前に重篤な病気で入院し、退院の時に計画相談に入ってもらいました。

その時、病院のソーシャルワーカーさんと地区のワーカーさんにも入ってもらい、「あんしんノート」をもとに、今後の対応を考えてもらいました。病歴や今までの生活歴などを共有し、新たに訪問看護さんが入りました。ノートを見てもらえば、必要なことを確実に伝えることができます。

 

ふだんのデータの共有は、今はメーリングリストを活用しています。後見人さんや計画相談や支援者に、例えば通院したらその報告をメールで送ることで共有。それは家族でなく支援者でやってもらっています。(聞き手 谷)

 

<参考>NPO法人つなぐ・三人会 あんしんノート


通院が多い人は医療情報は一冊に

 

耳鼻科や眼科も含め、たくさんの診療科にかかっているので、医療情報は一冊にまとめ、科ごとに分かれたファイルをつくり記録しています。

 

そこまでしなくても、袋に分けて入れたり引き出しに入れておくだけでもいいからやっておいた方がいいです。本人と家族を分けて、保険証やお薬手帳、受診カードをわかるようにしておくと、いざというとき役に立ちます。

 

相談は誰に

 

娘が小さい頃、制度がない時から、多くの支援者に助けてもらってきました。その時々で、動いてくれる人がいました。今でも制度の隙間を埋めなくてはならないことがたくさんあります。だからキーパーソンは計画相談の人と決めず、その時の状況で誰になってもらってもいいと思っています。

 

相談員から

 

若い利用者さんのご両親がなくなられました。病院の診察券と療育手帳以外は、母子手帳もサポートノートも残されませんでした。

 

未成年なので、療育センターには資料が残っているだろうと問合せましたが、公立から民間へ変わっていて、資料は本庁にあるということでした。その本庁では、保存期間は10年で廃棄されていました。

 

児童相談所に療育手帳取得時の相談記録などないか聞いてみました。後見人さんの請求があれば、開示はできますが、判定結果しかできないそうです。医療機関も、現在通院中のところでは、処方箋の情報をいただけましたが、それ以前の医療機関の情報はわかりませんでした。ほとんどが個人情報ということで、家族以外には開示がされません。

 

以前、お母さんに「あんしんノート」をお勧めしたことがありますが、療養中のお母さんには体力も気力もなかったと思われます。相談員として、聞き取りしてでも書いておけばよかったと悔やまれます。

 

サービス利用計画を作成する際、基本情報として成育歴や病歴を記録しますが、その時の時点で伺えたことしか記入ができません。相談員が交代した時も、最後の計画書の引継ぎがあるだけです。

 

相談員としても、支援を組み立てる基本になる「あんしんノート」の活用が必要だと痛感しています。

「親心の記録~支援者の方々へ」HPからダウンロードすることも送付してもらうこともできます。

 

ノートを書いておくことで親自身の安心感につながり、子どものために何をしてあげようかとさらに前向きなことも考えられるようになると思います。

 

障害のある子が「親なき後」も周囲の温かいサポートを受けながらその子らしく生きていけるように、「未来への道標として」この「親心の記録Ⓡ」をご活用ください。

 

「親心の記録」は、一般社団法人 日本相続知財センターから発行されています。

 

※以下のホームページから無料でダウンロードできます。

https://oyagokoronokiroku.jp/contact/

 

団体には無料発送されるのでロンドでも10部取り寄せました。事務所に取りに来られる方には差し上げます。必要な方は谷tani@rond.jpまでご連絡をお願いします。

 

※大変シンプルなものです。それぞれの障害の特性に合わせて、必要事項を書き足す必要があると思います。書き加えできるようデータ化されるといいなと思いました。


242号

A.親が未成年者である子供名義で定期預金や定期積立を作成していることは多いと思います。現行で適用されている20歳以上が18歳に引き下げられたと思って下さい。

 

Q.現在の20歳以上に適用している内容を教えてください。

 

A.定期預金等の途中解約については、

 

①解約時定期の名義の子供が未成年の場合

未成年の子は、父母の親権に服し(民法818条)、親権者は子の財産管理権を有している(民法824条)

 

民法818条3項には、「婚姻中は原則として父母が共同して行う」と民法で記載していますが、実務的には金融機関によって対応が違いますが、例えばX信用金庫においては、親権者である親の本人確認とその親と定期名義人の子との関係を示す書類(同一生計が条件ですが、保険証等)で解約可能です。

②解約時定期の名義の子供が成年に達していた場合

 

成年者である子供は単独で法律行為ができるため、原則としては定期預金等の名義人の子供が金融機関に出向かなければ解約できない。

 

Q.なぜ民法ではそのような規定になっているのですか

 

A.下記に記した意思能力や行為能力が不十分な者が行う法律行為を保護するため設けられました。民法上能力は3つあるといわれております。

 

①権利能力

 

民法3条1項「私権の享有は、出生に始まる」と記載され、つまり人間以外の者は権利能力がないとされております。

 

②意思能力(意思表示などの法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力)

 

民法3条の2「法律行為の当事者が意思表示を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」と規定しております。

無効とは、そもそも契約の効力が発生しないつまり初めから契約がなかったことになります。

 

一般的には、10歳未満の幼児、泥酔者、重い精神病や認知症にある者は、意思能力がないとされている。

 

意思能力が不十分の者の法律行為は、法定代理人が代理して行う必要がある。

知的障害の者はここに該当すると思われます。

 

③行為能力(法律行為を単独で有効に行うことができる能力)

 

民法5条1項前文「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。単に権利を得又は義務を免れる法律行為については、この限りでない」

 

つまり未成年者の法律行為は、法定代理人の同意が必要です。

未成年者はここに該当すると思われます。(上記②にも一部該当します)

 

金融機関によって対応が違いますが。2022年4月1日以降、子供名義の預金に関しては早めに金融機関に相談した方が良いと思います。(文責:中央支援PTA 町田勇)

→e-Gov法令検索より(民法:明治二十九年法律第八十九号)


241号

A.(相談員) 4月1日に、Kさんから相談を受けたので、区役所のワーカーさんに聞いたところ、「やさしい住まい」は一度しか利用できないけれど、リフターは自立促進用具として、申請が可能だということが分かりました。
やさしい住まいについて(川崎市のホームページ)

そこでリフターの業者さんと障害者センターのワーカーさんに連絡し、リフター導入が可能かどうか見てもらうことにし、家庭への訪問をお願いしました。

(Kさんからの報告) 4月19日、リフター業者さんとリハセンターのワーカーさんとPTさんが見に来られました。

リフター業者さんからは、半円を描いて動くタイプと天井にレールを通す二つの案が出ました。どちらも安全であるということでしたが、それぞれのいい点悪い点を丁寧に説明してもらったので、とても分かりやすく納得がいきました。PTさんには本人の様子を見てもらって、体の動きなど具体的なアドバイスがあったので安心できました。 

それでも、実際に乗ってみないと、心配が残ります。以前に、ネット(スリングシート)に乗ってみた時は、緊張して突っ張ってしまい、またそうなったら無理です。それでリハセンターでの実地体験をお願いしました。 5月7日、リハセンターの訓練室で、本人、家族、PT、ワーカー、リフター業者が集まって、いろいろ試してもらいました。
リフター

スリングシートもいろいろあり、リフターへのベルトのかけ方ひとつで、安定感が違うことが分かり、娘の表情を見てどれにするかきめることができました。父親も実際に乗ってみて、今まで思っていたのとは違い、きつくもなく快適だといっていました。 風呂場の天井に縦横に走行するレールを取り付けることになったので、180万円くらいの見積もりでした。 

リフターは、自立促進用具の入浴補助用具としてリハセンターを通して申請すると、上限100万円までは支給されるそうですが、全額出してもらえるかどうかは、これから審査を受けて決まるそうです。差額分は、娘が貯めていた年金で払おうと思っています。完成したら、リフターを考えている人に、家のを使って試してもらえたらいいなあと思っています。


240号

A.介護職の人手不足や低賃金といったことについて、よく報道され、「報酬改定」が行われます。というような報道がありますが、とても分かりづらいですよね。簡単に言ってしまうと、福祉・介護職員の処遇などや、障害児・者の福祉サービスといった(例えば居宅介護や生活介護、放課後等デイサービスやグループホーム等々)障害福祉サービス等に係る報酬について決める。ということを3年ごとに見直しを行うことを「報酬改定」と言っています。

 

3年ごとに見直しを行うわけですが、今回は令和3年度の「報酬改定」となります。この令和3年度の「報酬改定」は厚生労働省において次のとおり行われました。

 

昨年2月から18回にわたって議論を行い、この間46の関係団体からヒアリングを実施した上で、個々のサービスの現状と論点を整理しながら検討を積み重ねてきた。この「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」は上記の経緯等も踏まえつつ、これまでの検討内容を整理し、取りまとめたものである。 (厚生労働省ホームページ令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要より抜粋)⇒厚労省ホームページ「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」

 

◆令和3年度の「報酬改定」の主な内容

・障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、相談支援の質の向上、効果的な就労支援、医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進、感染症等への対応力の強化などの課題に対応

・令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の改定率:+0.56パーセント

となっています。

 

医療的ケア児への支援についても、医療的ケアが必要な障害児に対する支援の充実、放課後等デイサービスの報酬体系等の見直し、児童発達支援の報酬等の見直し、障害児入所施設における報酬・人員基準等の見直し等が行われています。

 

この医療的ケア児に関わる見直しの際のヒアリングでは障害者団体、親の会、医ケア、日本医師会、看護協会等々関係機関の意見をもとに論点整理をし、考えられています。

 

このように46の関係団体とありますが、身体・知的・精神の3障害団体のみだけではなく、各分野から意見・要望を聞き取り行われていて、この場において各団体も現場の声が反映されるよう訴えてくれています。

 

この検討会はすべて公開で議事録や資料、今年度においては途中から新型コロナウイルスの影響で、会議の傍聴ができなくなりオンライン会議という形がなりましたので、YouTubeにおいてライブ配信にて公開も行いました。

 

私たちにかかわることを決めるのですから、このような公開の仕方を川崎市でも行ってほしいと思います。

 

※介護保険でも「報酬改定」は同様に行われますので、介護保険のものか障害福祉のものか混同しないように注意が必要です。


239号

A.療育ねっとわーく川崎は被災地である岩手県山田町に、職員の家族が住んでいたという縁もあり、震災直後の3月25日に、必要であろうと思われる物資を法人の福祉車両に積み込み現地へ赴きました。現地へ行ってみると避難所には支援物資はたくさん届いていたのですが、被災地の皆さんが本当に必要とするものはほとんどありませんでした。そこで皆さんに必要なものをお聞きして物資を運んだことが、支援のスタートとなりました。

 

継続した活動をするため東北大震災ボランティアセンターを立ち上げると多くの方が義援金を寄せてくださり、物資を届けることができました。

この支援ができたのも、同じ被災者でありながら、窓口になって支援物質の配布をしてくださった下村さんがいらしたからです。被災者の側になった時、何をすべきかを教えられました。

 

山田町と関わったことで、大震災に向き合うことができ、「防災」の取り組みも我がこととして考え、地域への活動にも広げることができました。

4月13日:「津波に襲われた町 岩手県大槌町・山田町」写真展開催。一陣で現地入りしたカメラマンの川上氏が撮った写真は、あまりにも凄まじいものであったからこそ目を背けてはいけないものと考え、多摩区役所で開催。◆カナコロの記事はこちら ◆タウンニュースの記事はこちら

その後、各地で写真展を開催。

 

11月11日:長沢中学校で、被災地の実態を山田町被災者の下村さんが講演。

11月13日:「震災・つながる・川崎シンポジウム」共催 当事者・支援者の報告。

その後、法人内では、防災委員会を立ち上げ、災害に備えての取り組みも始めました。

 

一昨年の台風19号の後には、行政の方たちに災害時における障害者の避難について、当事者の声をきいていただく場を設けました。今後も行政の方とともに災害時における障害者の避難について、どんな障害であっても「あきらめる」ということのない地域になるよう、みなさんと共に知恵を出し合っていけたらと思います。

3月23日:行政の方と防災研開催
3月23日:行政の方と防災研開催

238号

A.確かに当事者団体への聞き取りは行われました。「当事者の声」を受けて変ったところもあれば、変わらないところもある。という分かりづらい答えになってしまいます。どういう事かというと行政側の解釈によるからです。

 

第4次ノーマライゼーションプランの時のパブリックコメント後を例にしますと、行政は一度決定した第4次ノーマライゼーションプランを、パブリックコメントを受けて第4次ノーマライゼーションプラン改訂版として出し直してくれています。

 

この表がその時のもので、Aの「意見を踏まえて案に反映させたもの」が130の意見に対して11、Cも9しかありません。この時に私も意見を書き、本来ならばAかCに入ると思いましたが、私の真意は伝わらなかったようです。

 

当時、他に意見を出した方達に聞きましたが、私と同様でした。ただ全てがそういうことではなく、事前の当事者団体への聞き取りやパブリックから福祉施策へ組み入れてくれている例もありますので、意見を出すことは決してムダではありません。

 

ノーマライゼーションプランは当初のものから、今は上位概念とされる地域ケアシステム推進ビジョンを基に作成され、とてもわかりづらいものになってしまっているということが残念です。

第4次かわさきノーマライゼーションプラン
意見内容と対応

235号

A.富山市で昨年11月2日デイサービスを利用して、送迎時に発生した事故の事と思われます。ドライバー・スタッフと利用者様5名(内車椅子乗車1名)の乗るワゴン車にセンターラインをはみ出したとみられる乗用車が衝突、車椅子に乗っていた方が亡くなり、他の方々は怪我をされました。この時、車椅子の方は3点式ではなく、腰の部分を左右から抑える2点式を使い、胸や腹部を強く打つなどしてお亡くなりになりました。

高齢により姿勢が前かがみになっていたために首にベルトが掛からない2点式を利用していました。捜査関係者によると、事故の衝撃によってシートベルトが腰骨に当たらずに腹部が圧迫されたり、上半身が不安定になって前後に激しく揺さぶられたとみられています。

「車椅子の利用者は身体的な状況などが様々で一律に規制することは難しい」そして、車椅子は「座席」とみなされず、シートベルトの装着など法律による規制はほとんどないといえます。

※現在NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワークにおいて、呼びかけに応じた有識者、自動車メーカー、車椅子メーカーが参加し、「車いす・車両乗車時の安全に関する研究会」を立ち上げ、どうしたら安全に車椅子のまま福祉車両乗れるかにについて検討を行っています。

3点式シートベルト
シートベルト

対策:3点式シートベルトを首の部分やその周辺の”うっとうしい”部分を調整出来る補助具などである程度カバー出来ると思います。(らくらくシートベルトヘルパー等々アフターマーケットで販売)実際の衝撃時の検証はできていません。


234号

A.療育ねっとわーく川崎(防災委員会)として、今、捉えている情報や動向等をお話しすることで、お答えに代えさせていただきます。

(1)指定避難所に「要配慮スペース」が作られる。

川崎市の全ての避難所に、避難所での配慮が必要な方のスペースを確保することが決まりました。簡易的なものではなく、教室等を用意するとのことです。


(2)分散避難を推奨している。

指定避難所と言えば、学校ということではなく、より身近な地域の資源を利用しての避難所開設を考えている様子です。→具体化に向け、声をあげていきたいです。


(3)医療的ケアが必要な方々の避難は別立てで考えていくと、行政は考えているようです。(電源の確保や医療機関との連携の必要性等。)
その重要性に関しては、一致していますが、今一つ具体的なものとはなっていません。


(4)福祉避難所の課題に関しては、認識されている様ですが、今だ、具体的な方策は出されていません。
→ここも、さらに訴えていきたいです。


(5)療育ねっとわーく川崎では、「災害時要支援者マップ」を作成中です。

私たちの法人のサービスを利用されている方々の中で、災害時の支援が特に必要だと思える方々をリストアップさせていただき、台風等、前もって対策が立てられる場合は、個別の対策・対応を決めておいたり、地震の場合等は、被災後できるだけ早く、安否確認のため、関係者が駆け付けるという、独自システムを作成中です。しかし、まだこのシステムにより、支援できる方の数は、少数でしかありません。法人として、このシステムの完成度を高めていきます。


(6)「災害時計画」をひとりひとりに作成する必要がある。

全国的に、障害福祉サービスを利用している方は、ひとりひとりにサービス等利用計画という個別のプランを作成しなければならないことをご存じでしょうか?この計画の中に、災害時計画を加えることはできないでしょうか?この計画に、災害時の対策、対応方法を組み入れておくことで、具体的行動の指針になると考えるのです。→考え方は川崎市と一致していますが具体的なものになっていません。


(7)ひとりひとりが出来ることを、まずしておきましょう。

地域の状況を「ハザードマップ」等で知っておくとか、防災グッズをそろえることなど、できることは、準備しておきましょう。
<参考>川崎市のページより 防災マップ・ハザードマップ
<参考>川崎市多摩区のページより 防災マニュアル

※はなはだ、具体性に欠ける部分が多々あり、歯がゆい思いをされたのではないでしょうか?

しかし、この状況下、見えてきたものがあります。今後は、個人、地域、行政、法人、各々が出来ることを整理しながら、命を守る活動を一緒に続けていけたらと思います。
(五十嵐一明)


233号

A. 事件直後や判決後の現在に至るまで、社会学者や福祉関係者等の有識者の方達が、様々なコメントを述べています。それでも事件の風化は否めません。この事件に限らず、日本では問題だとされる事件等が、風化していってしまう事が多いと思います。特に障害者に関しては、古くから(最近までと言ってもいいかもしれませんが)世間に見えないようにする、見て見ぬふりをする、という社会的背景も大きいかもしれません。

 

最近の出来事で、福祉業界で働く若者が、「この事件自体を知らない。」と言われた時には衝撃を受けました。新聞もニュースも見ない人たちにとっては、それが当たり前なのかもしれません。広島や長崎の人が、東京に出てきて8月6日と9日に、誰も黙祷をしないことに驚く、というのも同じ感覚なのかもしれません。

 

話がそれましたが、この事件に関して、私たちは考え続けていくことが重要なのだと思います。どう考えればという答えはないと思います。どう感じたか、どう思うかで、それはみなさん人それぞれでしょう。有識者の方達のコメントや、他のみなさんの思いや考え方を見て・聞いて、それをご自分がどう感じるかを問い続け、発信していくことではないでしょうか。

 

7月下旬に発覚した事件で、ALSを患う女性がSNSを通じて見知らぬ医師に報酬を支払うとして命を絶つことを依頼し、依頼を受けた医師がそれを実行し、女性は亡くなりました。実行した医師は嘱託殺人の罪で逮捕・起訴されました。この事件をきっかけに、「安楽死・尊厳死」をめぐる議論がなされています。(反対・容認様々です。)

 

私たち障害者や、その家族の中には「死んでしまいたい」と思ったことのある人たちが、少なからずいらっしゃると思います。しかし、そう思ってしまう背景には、社会的要因が潜んでいると思います。

 

この女性の生活環境がどのような状況だったか分かりませんが、主治医にも安楽死を求めていたのに女性の心の叫びを聴いてくれる人がいなかったのでしょうか。周囲の方は必至でサポートされていたのかもしれませんので、軽々なことは言えませんが周囲の環境が十分でなかったことは推測できます。

 

この事件に対するメディアや社会の対応が、やまゆり園事件後のそれと重なって見えてしまうのは、私だけでしょうか?(前文が私見になってしまいました)佐藤紀彦


232号

A ノーマライゼーションプランとは、障害児・者の福祉政策全般に関することで、川崎市で暮らしていく上での支援の考え方や、具体的なサービスの数値目標を今後どのようにしていくかなど、障害児・者の生活にとって重要なことを決めていく、もとになる計画です。

 

現在の計画が第4次とされ、次年度から第5次ノーマライゼーションプランとなります。

 

例えば、生活介護なら平成31年度の見込量が2,884人/月で、平成32年度は見込量が3,057人/月となっています。このようにサービスごとに前期実績の伸び率を踏まえて、今後見込量を算定し、具体的なサービスの数値目標も作成されます。

 

繰り返しになりますが、サービスの目標のみならず、ここで決まることは障害児・者の生活にとってとても重要なことなのです。

 

Q 私たちが意見し政策を変えるにはどうしたらよいのでしょうか?

A 今回、来年度の第5次ノーマライゼーションプラン策定に向け、団体ヒヤリングとして、当事者から聞き取りをする書面が、ロンドに届きました。通常の聞き取りでは参加出来ない方も多いですので、今回はみなさんの思いを伝えましょう!

 

【聞き取り項目】

1.今の生活で困っていること

2.住み慣れた地域や本人が望む場で生活するために必要なこと

3.川崎市の相談支援体制に対して思うこと

4.川崎市の日中活動の場のあり方について思うこと

5.川崎市の福祉資源について思うこと

6.今後、川崎市に充実してほしいサービス等について

7.その他(自由に御意見をください)

 

とは言え、いきなりこの質問にどう答えていいのかわからない人もいらっしゃると思います。日ごろの相談内容から、例えば相談支援で、うちはセルフプランだけど、他の人は相談員がついているとか、うちの子が卒業するころには、生活介護はどうなるのとか、医療的ケアについての困りごととか、質問項目にこだわらずに、書いてみてはいかがでしょうか。

 

政策をより良いものにしていくには、当事者が声をあげていくしかありません。あきらめずに声を届けること、届けた声がどのように反映されているかチェックしていきましょう。


231号

Wさん:病院に行けず、電話で処方箋を送ってもらったが、ぼくの薬は普通の薬局ではすぐに用意してもらえなかったり、ずっと家にいるので、運動不足で筋力が落ちて足がむくんだり、花粉症なのに、換気で窓を開けなければいけなかったり、電気代など、いろいろと今までよりお金がかかったりで、大変だった。みんなに会えないのもいやだった。

Yさん:太った。

Mさん:今もそうですが行きたい所にも行けていません。食べる物は買いに行けるようになりました。時間の制限は守っています。お散歩はしています。

Aさん:車いすを押しながらだと買い物出来る量が少ない。運動不足で困った。

Mさん:コロナウイルスの影響で困った事は、感染なされた方が増え、亡くなられた方がいるという事は、「感染した、入院する、最悪亡くなる」。感染病の場合、感染したとなった時が、最悪ご本人との最期の顔をあわせる事になるので、すごく悲しく辛い想いをしている方々が沢山いる事を理解している人はいるのか?と不安になりましたし、何人亡くなられましたと報道され、この人数をみて、本当に理解している方々はどれくらいいるのだろう?という人への恐怖を感じたりしました。

Q.どのようにして過ごしていた・いますか。

Wさん:家でできる運動をリハビリの先生に教えてもらい、運動していた。

Mさん:自粛期間中は、マスクをつけ手指消毒のエタノール小瓶を持ち、自分の家の周りを散歩していました。散歩に行って、いろいろ新しい発見をしたりと自分の精神面を下げないように、なんとかしていました。

Aさん:子供と遊んだり、漫画や読書をして過ごした。

Mさん:新型コロナになってからは、一日パソコンで遊ぶようになってしまいました。


230号

Aさん:反省して欲しい。でも自分が犯した罪の重さがわからないなんて。自分の心を満たす為に命を奪っていいはずがない。植松死刑囚に聞きたい。あなたは世の中の全ての人間から生きていても仕方がない人間だから死刑になったと言われているのだ。その気持ちはどうなのか?

Fさん:津久井やまゆりの件は、ずっとモヤモヤした状態で受け止め切れていません。関わった施設関係者、保護者、マスコミ、犯人などなど、何も本当のことは語っていません。裁判も人権確保の観点という理由であんな形はあり得ない。障害者の人権どころか存在すら無視しているように感じました。生活をしていく中で、立場や関係性を超えていろいろな意味で”排除”ということを考えさせられます。

報告書を全面的に信じるものではありませんが、ことの本質を読み取るきっかけになりました。関わった誰もが心の闇は語らないのであれば、何回裁判をしたところで意味はないと思います。これを機会に、共に暮らせる社会とはを考え行動していくことだと思います。

Mさん:私は、死刑は確定したのは解ります。でも何であんな事件をおこしたのかが解らないのに、死刑の判決が出たのが、なっとくができないし。これからそうゆう事件がおきたときに、どう対応をとるのか解らなくなりそうでこわいと思います。

Fさん:やまゆり園の事件は、植松には生きたまま牢獄で一生涯いてほしいです!死刑で終わるのは良くないと思います。

Kさん:まさかこんな事件が実際に起きるとは、当時一報を聞いて本当に衝撃を受けました。その後悲しみや怒りなど数々の感情が浮かびましたが、それは今でもうまく言い表せず、整理もつきません。ただ実際に被害を受けた方はふだんの生活の場で恐怖の中でいきなり命を奪われたことを考えると胸が痛みます。また犯人の考え方ですが、たぶん表に出して行動しないだけで、残念ながらこうした考えを持つ人は一定程度いるのではないかと思います。そんな思想に対してどう抗えるのか。答えはわかりません。ですが考え続けるしかないと感じます。

Sさん:やまゆり事件は私にとってとても衝撃的でした。当時れいんぼう川崎でショートを月1で行っていたので、本当に怖かったです。怖くて、行きたくないとも思いました。犯人の考え方はとても悲しいですが、他にもたくさんいると思います。

少しでも考え方を変えてもらうには、当事者と関わり方が大切だと思います。犯人にも、死刑でなく、少しでも「不幸でない」というのを分からせたかったと思います。でもはっきり言って分かりません!もう二度と起きないために、忘れてはいけない事件です。


229号

A.ケア会議(サービス担当者会議)とは、福祉サービスを利用されている方に関わっている関係者が(相談支援専門員、サービス事業所、訪問看護ST,区役所の担当者など)集まって、福祉サービスを利用されている当事者及びご家族と共に、サービスのあり方について確認をしたり、課題などの検討を行います。

 

Q.ケア会議(サービス担当者会議)とは、どのような時に行われるのですか?

 

A.福祉サービスを始めて利用されるときに、相談支援専門員がご本人やご家族にどのようなご希望があり、どのような生活を送りたいかなどをお聴きし、必要な福祉サービスを調整し、サービス等利用計画案という書類を作成します。このサービス等利用計画案を元に、最初のケア会議(サービス担当者会議)を行います。

 

すでに福祉サービスをご利用の方は、利用する福祉サービスにもよりますが、おおむねご本人の誕生月かそれ以前約1ケ月前の間と、モニタリングといわれる月。(モニタリングする時期は、利用者の生活環境やサービス内容により異なります)または生活環境に変化があったり、福祉サービスの利用に増減が必要になった場合に、ケア会議(サービス担当者会議)を行う場合があります。

 

Q.ケア会議(サービス担当者会議)の場で、私たちは何をすれば(言えば)いいのでしょうか?

 

A.基本的には、ケア会議の前に相談支援専門員がご本人に最近のご様子などのお話しを伺い、今の状況で生活等に問題はないかを確認してから、ケア会議を行いますので、事前のお話しの際に、困っていることや新しいご希望等がありましたら、相談支援員にお伝えください。ケア会議当日はサービス事業所や関係機関から、現在のサービス内容や要望等についてのお話しが出たりしますので、改めてご本人や家族のご希望等をお話しください。

 

ケア会議終了後に、事前のお話しや当日に言えなかった事などあれば、いつでも相談支援専門員にお話しください。逆に相談支援支援専門に直接話にくいような場合で、役所のワーカーさんや、話しやすい事業所さんなどがあれば、そちらにお伝えくだい。


228号

A.相談員とは、資格を持った相談支援専門員と、福祉事業所等で相談に対応する人がいます。

 

一般的に相談員とは、相談支援専門員のことを指します。福祉サービスを利用するための計画書の作成や、生活に関わる相談をお聴きし、情報提供やサービス利用につなげたりしながら、相談をされた方とともに、どのようにしていけばいいかを一緒に考えていきます。

 

◆質問②◆相談員と話す時はどのような話しをしたらよいのでしょうか?

 

A.どのようなお話でもかまいません。と言われても困るとのご質問でしょうから、困りごとや心配なことなどをお話ししていただければと思います。

ただ相談員だからといって、いきなりよく知らない相手に、ご自身の困りごとなどを本音から話せる方は中々いらっしゃらないでしょうし、意を決してお話しをしてくださったのに、相談員が期待通りの答えを返せなかったりすると、また相談しようという気にはならないでしょう。

 

最初からすべての答えを出せる相談員は中々いないかと思いますし、相性もあると思います。まずはできるお話しから入ってみて、お話しを重ねて信頼関係を築いていってください。

 

◆質問③◆子どもは言語障害で話せません。話せない子どもの場合、相談員はどのような関わりで困っていることを知るのですか?

 

A.質問②でお答えしているように、相談員のほうも時間をかけて対応させていただきます。

 

お話しができなくても、表情や仕草などからご本人の意思を確認できるように努力いたします。もちろんご家族のようにまではいかないでしょうから、ご家族のかたにご協力をお願いしながら、ご本人の意思がくみとれるように対応していきます。

 

◆質問④◆逆に、相談員の想いを教えてほしいのですが。

 

A.相談をされる方は、がんばってがんばって、どうしようもない状態になって、相談にいらっしゃる方がほとんどです。行き詰ってしまう前に、「このぐらいのことで人に相談なんて」と思わずに相談してみてください。とは言え、これが中々そうもいかないのでしょうか?


227号

A.本誌3面にもあるように、障害者総合支援法に基づく福祉サービスを受けるためには、この支援区分(非該当から区分1~区分6まである)を受けることが必要です。

この調査は、障害のそれぞれの特性に着目するのではなく、どの障害の方にも当てはまるように、80項目の基準によって審査するものとなっています。

 

5年前に、初めて支援区分を受けた方から、体験をお聞きしました。参考にしてください。支援区分認定調査は、3年ごとに更新がありますので、1回の認定調査で、将来が決まってしまうことにはなりません。

 

◇◇◇

 

私は18歳になった時に、障害程度区分(現在は障害支援区分)認定を母と二人で受けました。認定員という人が調査票をもとに、生活上で出来ること、出来ないことなどをいろいろ聞かれ、答えました。後に出た結果は区分4でした。

 

数年なんの疑問もなく過ごしていましたが、ある日、日中活動の場で区分4だというと、周りの人から私の身体の状態で区分4はおかしい。と言われました。ちょうど認定の期間更新だったので、今度は日中活動の場の相談員の人に同席してもらいました。

 

前回同様聞き取りに答えていると、相談員の人が「それは調子が悪いとできないよね」とか認定員の人が「ここはお母さんがやってますね」と進めようとするのを「いや、やっているのはヘルパーさんですよね」とか、出来る出来ないだけでは回答にならない項目に、文書での付け足しを求めるなど、いろいろ修正をしました。後に出た区分は区分6でした。

 

<同席した相談員より>

 

当たり前ですが、みなさんなれていませんし、がんばれば(無理をすれば)出来ることなどを「出来る」と言ってしまいがちです。日常生活のことですので、出来ないときや困る時を基準に考えましょう。そうは言っても分からないことが多いと思います。日常にかかわっている支援者などに同席してもらうことをお勧めします。

 

【80項目の内容】

 

1.移動や動作等に関連する項目(12項目)

2.身の周りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)

3.意思疎通等に関連する項目(6項目)

4.行動障害に関連する項目(34項目)

5.特別な医療に関連する項目(12項目)


225号

これは、2015年8月号のニュースの1面に載せたものです。その時の回答は以下のものです。

 

すでに、国は2006年に「交通バリアフリー法」を制定し、高齢者や障害者等の移動が円滑にできるよう計画を推進しているところです。こういう中で、低床バスやノンステップバスの導入が進められてきました。さらに、2020年には東京オリンピック・パラリンピックを控え、さらに高いレベルのバリアフリー化を目指す方向が打ち出されています。

 

2016年4月からは、「障害者差別解消法」が施行されます。この法律では、障害のある人とない人の平等な機会を確保するために、障害の状態などを考慮しサービス等を提供することを「合理的配慮」といい、それをしないと「差別」をしたことになります。

 

障害者権利条約の批准から、障害者の権利を保障し、差別を解消する取り組みが広がっています。だからといって黙っていても、問題解決はされません。差別の実態を当事者が訴えていくことが、この法律を血の通ったものにしていくことになると思います。

 

この記事を書いてから、障害者差別解消法が制定されました。オリンピック・パラリンピックは来年に迫っています。

 

差別解消法では、各省庁ごとに、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」が出されていて、国土交通省の中には、一般乗合旅客自動車運送業関係として、乗車拒否を不当な差別と定義。合理的配慮の具体的な例として「車いす使用者の乗車ができないことがないように、スロープや車いす固定装置の整備・点検を徹底する。」が挙げられています。

 

残念ながら、この質問をされたMさんは、差別解消法ができたにもかかわらず、市バス内で不適切な対応がされたためけがをされました。彼女は、障害のある人や高齢者が、これから増える中で、公共交通機関がもっと優しいものになってほしいと、川崎市を相手に裁判を起こしました。10月30日、運転手の注意義務違反による損害賠償という判決が出されました。


224号

 Aさん:12日の午前中、予報を見て、小学校へ避難しようと考えたが、車いすで行くには遠く迷っていた。相談員さんに相談し、近くのショートステイに緊急で入ることができた。リフターもあったのでトイレも心配なく、食事もできた。

 

Bさん:避難指示が出たので、怖くなってヘルパーさんと一緒に小学校に避難。応対してくれた職員から、体温調節ができるかどうか聞かれ、難しいと答えると、空調設備のある3階の部屋に案内してもらえた。ヘルパーさんと一緒で安心だった。

 

Cさん:二階建ての我が家。肢体不自由の息子は基本的に一階で生活。当日は早めに二階に家族全員で移動し、避難リュックだけでなく、数日分の食糧と飲み物、衣類、子供達のアルバムなども持ち上がった(避難リュックは娘と一緒に前日に中身を一つ一つ見直し、不足の物や電池切れ、避難グッズの使い方などを確認した。)

ピーク時は、自宅から数メートルの用水が氾濫し、敷地一歩外は浸水、水の怖さを実感。台風のように事前に情報があり、避難まで猶予がある場合などは、より安心に過ごせる避難場所を予め調べておき、選択市肢をもっておくことも大切だと感じた。

 

Dさん:川の近くに住んでいる。子供がいるので、避難指示が出る前に、指定の小学校に避難。すでに、体育館と一階の校舎はいっぱい。2階、3階の校舎も開放されたが、夜には廊下まで人で埋まった。「停電すると、水道もでない」とのアナウンスがあった。そもそも避難所が、浸水指定区域なのが疑問。避難時、毛布の配布は終了。水・食料の配給はなし。とにかく持参したものでしのぐしかなかった。バスタオルを敷いていたが、床の上は痛くて寝れなかった。

 

Eさん:目の前が川。日ごろから、ハザードマップを確認し、浸水区域であると知って備えていた。11日の台風の予報を見て、前もって必要なものは2階にあげた。食事の用具も持っていき、娘を垂直避難して2階で過ごした。自分たちで対応ができそうだったので、要援護者として町会の支援は必要ないことを伝えようと思ったが連絡先がわからなかった。かわりに11日のうちに、区役所の危機管理室に連絡。障害ごとの対応をしていると聞いていたので、当事者家族だけでなく、支援者も逃げてほしいと思っている。

 

Fさん:周りの人たちは、みな近所の学校に避難していた。障害のある息子を連れてはいけないので、万が一の時はあきらめるしかないのかと考えさせられた。


223号

ある時、自宅で、息子が紙やぶりをしていました。ビニール袋には入れるのですが、ごみ箱に捨てるのはうまくなくて、投げたごみ袋がバルコニーを越えてしまいました。下の方の玄関に落ちてしまいました。日ごろは、お付き合いのない方で先に謝りに行けばよかったのですが、自宅に怒鳴り込まれ、謝罪するも、「子育てがなっていない」といろいろ言われました。

 

その中で私の中で怒り?が、こみ上げてきたのが「こんな子供産みやがって」「育てやがって」でした。そして警察呼ぶぞと言われて、警察は私から呼びました。

 

それから、関わっている事業所に連絡して、もしも警察から連絡があって息子の障害を聞かれた時は、説明してくださいと頼みました。私はかなりパニックになりましたが、事業所の職員がこちらは任せてと言ってくれて心強かったです。

 

警察が来て、こちらが紙を投げた件は謝罪します。でも怒鳴り込まれ、子供のことの存在事態を全否定されたら私はどうしたら良いのですか?と言いました。

 

警察の人は、「私たちの仕事は両方の話を聞き、基本はどっちの肩も持てないです。でも子育ての大変さはわかります。私がきちんと伝えます。」と言われたので任せたら、頑固なおじさんが、障害がわからず酷いことを言って悪かったと謝ってくれました。息子の気持ちが落ち着いてから一緒に品物を持ち家族で謝りに行きました。

 

近所の人にも助けられました。「普段足の悪い私のごみ捨てを手伝ってくれているあの子がわざとやるわけない」といってくれる方もいました、驚くくらい近所の方も変わらずに接してくれて嬉しかったです。

 

地域で暮らすとは、いろいろありますが、交流は時として力になると思いました。それから、警察の方が頼りになることもわかりました。何かあったら、警察を呼んで間に入ってもらうのも必要なことも。また、普段から、息子は近所の掃除と動けないお婆さん宅のごみ捨てをしていたので他の近所の方が助けれくれました。ちょっとした関わりも大切なんだとわかりました。


222号

☆私の周りでは、放課後等デイサービスを利用している人が多いのですが、うちの子は障害が重く、放課後は家に帰って休まないと、疲れてしまいます。それでも、他に兄弟がいるので、学校の行事や通院など、どうしても家をあけなければならないことがあります。

 

☆シングルマザーで就労しています。時にはどうしても仕事で遅くなることがあります。実家は遠く頼れません。放課後等デイサービスの送迎の後、少しの時間でいいので見てもらえると助かるのですが。

 

☆年に1回のお姉ちゃんの発表会があります。この時だけはついて行ってあげたいのだけど、この間障害のある子を見てもらえないでしょうか。日曜日なので。放課後デイサービス等もお休みです。

 

☆重度の障害があるので、集団の場でみてもらうのは心配です、実家の母の具合が悪く定期的に介護に行きたいので、数時間だれか家でみてもらえないでしょうか。

☆支援級に通っています。私に持病があり、送迎の付き添いがとてもつらいです。かわりに送迎してもらうことはできませんか。

 

☆仕事先が変わり、スクールバスに送っていると遅刻してしまいます。小さいうちは、会社も時短を認めてくれましたが、厳しくなってきました。家からスクールバスまで送ってもらうことはできますか。

 

***

 

障害のあるお子さんを育てていると、家族の病気やお仕事、きょうだい児の行事など、こんなとき、誰かに手伝ってもらえたらなということがよくあるのではないでしょうか。

 

今は、ご近所にちょっとお願いということも難しくなっていますよね。そんな支援をそれぞれの地域に合わせて作られたのが、地域生活支援事業です。今は、児童発達支援や放課後等デイサービスがたくさん作られ、通所でみてもらえる場所はかなり充実してきていますが、それだけでは地域で安心して暮らすことはできません。それぞれのご本人やご家族の状況に合わせた個別の支援が必要になります。

 

「家族の代わりに学校に送ってくれる通学サポート」「自宅での見守りをする安心サポート」「外出支援の付き添いをする移動支援」など、川崎では本人や家族の切実な思い(ニーズ)を行政の担当者が受け止め制度化してきました。特に、通学サポートは他には見られない支援だと思います。

 

しかし、せっかくの制度ですが、実施してくれる事業者は少なく、サポーターも多くありません。お子さんや家族にとっては切実な支援です。地域生活支援事業に参入してくださる事業所が増えることを願っています。(谷)


221号

A.ご質問を聞いて、まだ利用されていない当事者家族の方にとっては、これってなに?と疑問に思われるのは当然なんだろうと改めて思います。昔話のように思われるかもしれませんが、2000年に障害者のヘルパー制度が始まったころは、こんな違いはなかったのです。障害者手帳がある人は、福祉事務所に申請すれば、1日7時間週1回程度を基本にヘルパー派遣が認められ、その時間内なら、家での家事や身体介護・外出もオッケーだったことがありました。(それ以上に必要な方は、ケースワーカーさんに相談)。

 

今のような障害区分認定もなく障害程度の違いで支給が変わることもなかったのです。シンプルで分かりやすいですよね。ヘルパー事業所も報酬単価が一律で、請求事務も楽でした。

 

その後、支援費制度という国の制度になり、利用者が増えたこと、報酬単価が上がったことから一挙に、国の予算をオーバーし「破綻」といわれ、代わりに自立支援法が成立しました。この法律で、障害区分認定が導入され、障害の程度によって利用できるサービスが限定。時間数や回数も細かく基準が作られました。区役所の窓口に行かれると、サービス利用のマニュアルに合うか合わないかというところから、話が始まるのはそのためです(現在は総合支援法)。

 

当事者にとっては、「外出したい」「お風呂に入りたい」「お掃除をしてほしい」という思いは同じなのに、それが障害によって利用できたりできなかったりするのは、おかしいと思うのですが、この法律にしたがわないと、公的な支援は受けられません。

 

この複雑な制度と当事者を取り持つのが計画相談です。ご本人の希望をサービス利用計画に書き起こし、相談員が役所に申請をします。ここで「移動支援」になるのか「行動援護」になるのか、どのくらいの支援が受けられるのかもわかります。計画案が認められ受給者証が発行されれば、支援をしてくれる事業所も探してくれます。とはいえ、土日に外出サポートをするヘルパー事業所は、飽和状態。すぐには見つからないかもしれません。

 

障害福祉情報サービスらくらく」で調べると川崎市内には、基幹の相談センター各1カ所、委託相談センターが各区に3カ所、それ以外にサービス利用計画作成が可能な指定計画相談事業所が50カ所以上あります。お近くにもあると思います。


220号

A.役所に相談して、伝わらないとつらいですよね。知的障害や発達障害などの方の特性は、理解されにくいようです。(身体障害も例外ではありませんが)。かと言ってそれで良いわけではないので、区役所でうまく伝わらない場合は、各相談機関または相談支援専門員へ相談するか、更生相談所・各地区の更生相談所の分室(障害者更生相談所南部地域支援室、井田障害者センター及び百合丘障害者センター)へ直接お問い合わせしてみてください。

 

やさしい住まい推進事業

 

制度としては「やさしい住まい推進事業」という制度で、利用条件に当てはまれば援助を受けられます。また住宅の改造等とは異なりますが、日常生活用具給付等事業という制度で、例として「バギーや頭部保護帽」などの(要件はありますが、他にもいくつか対象になるものがあります)。支給も受けられます。詳しくは「ふれあい―障害福祉を案内」という冊子を見るか、市のホームページに載っていますが、こちらも窓口は区役所ですので、同様に各相談機関または相談支援専門員へ相談をしてみてください。

 

参考までに、横浜市総合リハビリテーションセンターでは、「子どもといっしょに育てる住まい 知的・発達障害編」という住宅改修事例をもとにした住まいの考え方を、わかりやすくまとめたパンフレットを作成し、ホームページからもダウンロードできるようにした取り組みをしています。(佐藤)

 

💛トピック💛

 

音に過敏で、特に子供の声が苦手で家の中にいても不安になっていました。そこで二重窓にすることで、外部の音を遮断することを考えました、やさしい住まいの住宅改修をお願いし、費用を出してもらうことができました。

 

♬トピック♪

 

家にリフターを入れています。からだの動きが変わってきて、今までのスリングシートが使いにくくなりました。更生相談所に聞いたところ、リフターなどの設備をしている場合は、「5年以内に10万円までなら、修理という補助」があるということを教えてもらいました。役所に申請しスリングシートを新しくすることができました。


219号

A.ここ十数年、各病院の小児科でキャリーオーバーといって、高校生以上になったのだけれども引き続き小児科でフォローしている方のことが話題に上るようになりました。

 

神奈川県立のこども医療センター等では、神奈川全域から治療困難な患者さんが集まるために、成人したら地元の医師を探すように促されてきました。最近は大学病院や市中病院の小児科の場合にも、主治医が代わるタイミングなどで同様の話が持ち出される場合があるようです。

 

医療はもちろん信頼関係で成立することがらなので、特に患者と主治医との関係にはこれから先のことも含めた信頼関係があるものと期待されるわけですが、時にそれが病院の方針や小児科医師の都合で反故にされてしまう場合があり、今回の質問はこのような場合にあたると思います。

 

次の主治医探しをする場合の目安についてお話しましょう。まずどのような薬を使っているのかが重要になります。

 

例えばてんかんの薬が処方の多くを含める場合には、大人のてんかんを見てくれる外来の先生に診てもらう方法があります。例えば、聖マリアンナ医科大学にてんかんセンターが設置され、てんかんの患者さんは成人であっても主治医になってもらえるはずですので、紹介してもらう手があります。マリアンナで言えばてんかんセンターか、精神神経科か、神経内科がてんかんを見てくれています。

 

次に、ここ数年何度も気管支炎、肺炎などで入院することがある場合などは、呼吸器内科を紹介してもうらう必要もあるかもしれません。てんかんの主治医と呼吸器科の主治医のダブル主治医という場合もあるかもしれません。

 

緊張が強くて、ボトックスといった治療を継続している場合には整形外科かリハビリ科の主治医も必要になるかもしれません。

 

最近それに加えて、主治医として選ぶことが可能になってきたのか、在宅診療支援型診療所で、いろいろメリットがあります。

 

1つ目のメリットは通院しなくても自宅に往診してくれるということです。そこで必要な胃瘻(いろう)の交換や気管カニューレの交換をしてもらえるだけでなく、訪問看護事業所との連携もしてくれます。

 

2つ目のメリットは土日夜間などの困ったときの対応をしてくれる可能性があります。しっかりした診療所ですと入院の紹介や取次までやってくれます。

 

もし同様のことで困っている方がいらしたら、ソレイユ川崎で私が毎週月曜日の午後行っている外来で相談を受け付けています。ご活用下さい。(医師 江川文誠)